私は私。

アディッシュ取締役 杉之原明子のブログです。

その日のまえに(重松清)

 
母の日に思う。
 

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今は本を読むことが日課だが、大学時代はまったく読まなかった。本を読むよりバイト。知より飲み会。
 
そんな生活を送っていたとき、「その日のまえに」(重松清)に出会った。
 
「その日」をテーマに紡がれる短編、短編どうしが少しずつつながり、大きなうねりになるにつれて感情が高まり、とうとう私は山手線の中でこっそり泣いた。
 
ああ、活字ってなんて素晴らしいんだ。
 
 
さて、「猪突猛進」という言葉を私はたびたび使うが、ルーツははっきりしている。
 
母だ。
 
 
何を隠そう、母はイノシシ年なのだ。
 
母の猪突猛進ぶりは、娘の教育にあらわれていた。私の就職活動の軸が『大企業』になったのもこの影響だ。どこに出しても恥ずかしくない女性に育てたいと考えていたらしい。そのためならば毎日お弁当を作り、自分の物欲を封じて娘を塾に通わせた。本当に頭が上がらない。
 
 
私がガイアックスインターンを始めたときは、「私物を置いて帰るな、ずっと会社にいる子だと思われるでしょ」という謎の忠告を言い放ち、今思うと大企業方針の徹底っぷりたるや。
 
ただ、奮闘する娘の姿を見て、何かを諦めたのか受け入れたのか、ガイアックスに就職することにしました、と報告すると、
 
「よかったね。頑張りなさい」
 
たった一言だった。
 
 
転職に悩んでいたときは、「公務員にする」と私が言えば、
「もったいないんじゃない?一生懸命働いてキャリア築いてきたんでしょ?そうそうないわよ、そんな会社」
 
「やっぱり会社辞めないかも」と言えば、
「長く安定して働けるほうがいいんじゃない?あんなに勉強して合格したんでしょ」
 
で、会社辞めないことにしました、と報告すると、
 
「そう。頑張りなさい」
 
やっぱり一言だった。
 
 
昔から、何かとギャーギャーうるさいし、固定観念の塊だけど、娘が決めたことは理解しようと努め、全力でサポートする。そんなイノシシ系母なのだ。
 
 
母もいずれ死ぬ。その日がくる。
 
もう20年以上前だが、父方の母が亡くなったとき、母は一滴も涙が出なかったそうだ。出来る限りのことをやったから、涙なんか出なかったと。
 
 
今の私はどうだろう。
 
その日のまえに、私はどう行動しようといろいろ考えてはみたものの、母が元気であることに感謝をしつつ、私は元気だよ、を見せる時間を作る。 
 
それだけでも、まずはきちんとしようかなと思った。
 
 
 
 
 
 
 
・私が一番好きな小説
その日のまえに (文春文庫)

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