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私は私。

アディッシュ取締役 杉之原明子のブログです。

「ない」けど、「何だけはあるのか」(Social Business Japan Forum 2017)

イベント参加報告
先日、Social Business Japan Forum 2017に参加した。
#イベント概要&スピーカー:http://sbjf.gramweb.net/speakers/
 
ソーシャルビジネス提唱者であるムハマド・ユヌス博士が来日、基調講演をされた。ユヌス博士は、マイクロファイナンスを扱うグラミン銀行創設者であり、2006年度ノーベル平和賞を受賞されている方だ。
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ユヌス博士が提唱するソーシャルビジネスの特徴は以下だと理解した。
  • 社会貢献を解決するビジネスモデルであること
  • 利益を出すこと
  • その利益を次のソーシャルビジネスにつなげること
  • 株主への配当金はないこと
 
基調講演の後は、実際にソーシャルビジネスを展開している日本企業(ユニクロユーグレナ等)の事例発表があり、私はそこまでしか参加できなかったが、特に印象深かった3社の発表を取り上げたい。
 
 
1.日本での生産量ゼロに目をつける「緑豆プロジェクト」(グラミンユーグレナ
 
グラミンユーグレナが展開している「緑豆プロジェクト」のプレゼンは非常に印象的だった。グラミンユーグレナは、ミドリムで異彩を放っている、あのユーグレナ社とグラミングループの合弁会社だ。
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緑豆とは、もやしの豆のこと。日本で30円とかで買えるあのもやしの豆は、ほぼすべて中国からの輸入に頼っているそうだ。(恥ずかしながら、ま、まったく知らなかった…!しかも、なぜか、全部国産だと思っていた…。)バングラディシュの地でも、緑豆が作れるかもしれない。そんなところからプロジェクトが始まったそうだ。
 
  • バングラディシュの貧困農家:手間ひまかけてきちんと良いものを作れば、数倍の対価が得られることを知る
  • グラミンユーグレナ:中国に頼っていた輸入量に少しずつ切り込み、販路を広げる
 
当初は、金儲けの話だと怪しまれ、現地農家の理解を得るところからして大変だったそうだが、数年経った今では、手間ひまかけてきちんと良いものを作れば、収入につながることを経験した農家によるクチコミが人を呼んで、4000の農家が参加しているという。これだけでなく、衛生管理や販路開拓などを思うと、非常に関係者の多い壮大なプロジェクトであると感じる。
 
私が勉強になったのは、日本が輸入に頼っている食材に目をつけて、それをバングラディシュの貧困問題のソーシャルビジネスとした点。今後は、同じように、他食材にもトライしたいと語られていた。
  
 
2.休みを使って形に。「自動車整備士養成学校設立プロジェクト」
 
強烈だったのは、クレディ・スイス銀行東京支店プライベートバンク日本代表の平尾さん。平尾さんがバングラディシュで着目したのは、日本の中古車の多さ。きちんと整備をすれば、もっと乗れる。そんなところからプロジェクトが始まったそうだ。
 
自動車整備士養成学校のビジネスモデルは、
  • 貧困家庭の子どもたちを対象とする
  • 2年制の学校
  • 1年目は、母親がグラミン銀行からお金を借りる
  • 2年目は、整備を多少できるレベルになっている学生が、インターンのような形で働き、その対価を支払う。学生は、母親が借りたローン返済に充てる
 
加えて、英語教育もあり、学生は、2年間で英語がペラペラになったそう。ハングリーさが全然違うと。
 
学校を設立するに必要な資金獲得のための平尾さんの体当たりの行動と、最後の最後に人を引き寄せてきた、その道のりも凄まじかったが、それを「普通に働きながら、休みを使って形にした。職をクリエイトしろ!」と。これには震えた。
 
 
3.廃校までカウントダウン状態から「仕事をつくりに島に帰りたいと思う人材教育」へ(Purima Pingino)
 
プレゼンに惹きこまれたのは、Purima Pingino藤岡さん。
 
例えば島根県隠岐島は、随分前から、IターンやUターンによる地域活性化で話題になっていて、うっすら興味があったのだが、株式会社 prima-pinguinoは、廃校の危機にあった島唯一の高校を蘇らせるプロジェクトを主導した会社だ。
 
島唯一の高校をなぜ廃校にしてはいけないか、その課題感からプレゼンが始まった。高校がなくなると、どうしても人口も減っていく。一方、高校があれば解決するかと言えば、そうではなく、じゃあ島に仕事があるかという話になる。まわりまわって、教育環境があれば人は集まるのではないか。そんなところからプロジェクトが始まったそうだ。
 
高校改革と一口に言っても、大学進学などで、どうしても若者は島から出て行く。それならば、「仕事をつくりに島に帰りたい」をゴールに、魅力ある学校づくりをしよう!と。
 
今では、同様に、高校魅力化プロジェクトとして、過疎地にある全国6校へと広がっているそうだ。
 
私自身、学校営業をしていた頃、場所によっては、商店街のシャッターを開けなくちゃだよなーと何度も感じたことを思い出す。そのときは、解決策として、商店街活性化をうっすら安易に考えていたのだが、まさに、もっと学校起点で考えることもできるよなーと。
 
 
「ない」けど、「何だけはあるのか」
 
バングラディシュや過疎地といった地では、「どこかでは当たり前であることが、当たり前ではない」ことが多い。でも、「何だけはあるのか」を起点に、発想を転換しながら、考え続けることが大切だと感じた。そして、行動、失敗、行動。
 
非常に刺激を受けたフォーラムだった。