シェフが自宅で料理をふるまう "EatWith" を使ってデセントラライズについて考える
出張中の個人的な課題図書である、「ヒトデはクモよりなぜ強い:21世紀はリーダーなき組織が勝つ」を読了。
2006年に出版された、シリコンバレーの必読書らしい。10年後に私の頭がやっとこさ追いついたことに絶望しつつ、
特に、“中央集権と分権、そのバランス(スイートスポット)”の考え方が学びになった。
中央集権はいわゆる一般企業であり、分権はWikipediaの構造。
私たちに言い換えると、例えば、
・中央集権は、
会社/事業部/チーム内の承認フロー、統制のこと
・分権は、
中央集権と分権のバランス(スイートスポット)を考えることが大切で、
・どんな業界でも、安全と責任の所在が重要になるにつれ、スイートスポットが中央集権寄りになる。
・例えば、検索エンジン。ヤフーは、ネットユーザーの面倒を見てくれる存在だったが、ウェブが成長し、ユーザーも慣れてくると、分権型のグーグルのほうが魅力的に感じられるようになる。
・分権の風がどの方向に吹くかを予想するのは難しいが、とらえどころのないスイートスポットに従うのが、常に賢い選択であるのは間違いない。
分権化を、英語ではDecentralize(デセントラライズ)と言い、この出張中でも、横文字大好き弊社メンバーの会話で何度も登場している。
(が、その間、私はこの新出単語をずっと分かったふりをしていて、いまやっと自分のものに消化できた…)
今日は、シェアリングエコノミーをこの観点で考えてみたい。
で、シェアリングエコノミーを取り巻く2大課題を私なりに言語化すると、
①法規制問題
現在の各業界における法律は、中央集権を基本に作られている。つまり法規制議論が起きるのは当然
②HOSTは従業員?個人事業主?問題
プラットフォームとHOST間のスイートスポット探しは現在進行形で課題
ふむふむ。
さて、昨日は、シェフが自宅で料理をふるまってくれる「EatWith」を利用した。

先週から試みていたのだが、日付指定をすると申し込めるプランがない。プランの掲載数はまだ少ないようだ。
話を聞くに、サンフランシスコで登録しているシェフは25名とのこと。
そこで、リクエスト機能を使ってみることに。
ちょー市内のアパートメントを訪ねると、うわお!!!めちゃくちゃ素敵なご自宅とキッチン。
目の前で料理を作ってくれる。と、特等席すぎる…!
DIMITRIは、一つ星レストランでマネジャーとして働いていたシェフで(!)、2か月ほど前にEatWithを始め、先月EatWith一本にしたとのこと。
レストランは激務、かつ、多くのルールに縛られる現場だったが、今は自分の時間を自分でコントロールすることができる。加えてゲストと会話を楽しむことができるので幸せだと語ってくれた。
Eatwithのまとめとして、
“中央集権と分権、そのバランス(スイートスポット)”の観点で考えると、
例えば、
・中央集権(EatWith)
-利用規約を定める
-ゲストの予約を集める・分権(シェフ)
-サービス提供内容
-ゲスト満足度の大部分がシェフ次第
・中央集権と分権のバランス(スイートスポット)
-ゲストの満足度担保
-EatWith:素早いユーザーサポート、シェフの支援
-シェフ:レビューを活用したサービス提供内容の改善
とか?
いまこの瞬間、私たちの感覚や生き方を含め、世の中の多くがデセントラライズに向かっていると仮定すると、シェア〇〇の類がより理解できる気がする。
いま走っているシェア系をこの3つの観点で分析すると何かが見える、かもしれないし、
既存事業のスイートスポットを考え直してみると新たな提供形態が生まれる、かもしれないし、
いまセントラライズされている分野を探して、デセントラライズされている状態を想像し、スイートスポットを設計すれば、新規事業のチャンス(というかもはや新たな価値創造の域)、
かもしれない。
<参考URL>
・ヒトデはクモよりなぜ強い:21世紀はリーダーなき組織が勝つ
・今回ディナーをふるまってくれたシェフDIMITRIのページ