制度がどうだこうだより、ナッジを仕掛けまくりたい
昨年読んだこの本を、なんとなく再読することにした。
読まれた方も多いのではないだろうか。読み返してみて、感動のあまりあやうく涙が出るところだった。Googleの素晴らしさに感動したのではなく、自分がこの1年でもやもやしたことや悩んでいたことが、言語化されていた箇所が5個くらいあったからだ。そう!それ!それそれ!
あることが当たり前になることへの腹立たしさ
例えば、ガイアックスグループ東京拠点にて実施された、ペットボトルの水無料制度。これは、社員から生まれたアイディアで、社員による投票で選ばれ、経営会議を通過して実施された。

社員から生まれたアイディアは全部で215!
「ガイアック水」と呼ばれる、オフィスにおける健康施策のひとつだ。ペットボトル無料は今年になって廃止され、ウォーターサーバーに形を変えた。
私は、この変化に大賛成だ。
なぜなら、ペットボトル無料時代、私は、放置されたペットボトルを月に100本以上捨てていたからだ。怒りのあまり、エクセルで記録も取り、制度廃止に向けて粛々と準備を進めていた。
幸いにも、私が発狂する前に、経費削減を目的にウォーターサーバーが導入された。(水が美味しくて満足している)
紙コップのほうがペットボトルより放置率が低い
そして、ふと気がついた。
不思議なことに、ウォーターサーバー用の紙コップは、放置されていることが少ない。正しくは、私が捨てる件数が減少したのだ。
なぜだろうと思う。
捨ててあげる人が増えた?
- 紙コップのほうが捨ててあげる手間がかからない?(ラベルやキャップ)
- 紙コップのほうが所有者意識が低いため、捨てやすい?
- 紙コップのほうが量が少ないため、捨ててあげる人の良心が傷まない?
放置する人が減った?
-
マイコップを持つ人が増えた?
ナッジを楽しむ
「WORK RULES」を読んでいて、"ナッジ"と呼ばれる行動学的考え方の様々な事例にうなづいた。
ナッジとは英語で「人をひじで軽く押したりつついたりすること」を意味します。行動経済学と呼ばれる研究分野から出てきた用語で、選択肢をうまく設計したり、初期設定(デフォルト・ポイント)を変えたりすることで、人々に特定の(望ましい)選択を促すという意味合いがあります。例えば、スーパーやコンビニで「今週のおすすめ」「人気・売れ筋NO.1」と書く事で、消費者の選択を自然と誘導することも「ナッジ」に含まれますし、年金や医療・教育といった社会制度の設計にも応用可能です。
私は、決して、水無料に反対なわけではなく、ペットボトルを月100本以上捨てたくなかっただけなのだ。ナッジという視点からは、ゴミ箱の位置や高さを変えてみたり、謎のポスターを貼ってみたり、もっと実験出来ることはあったんだなーと、発想の転換になった。
制度を作るのは、ある意味簡単だ。
一方、作りっぱなしにされることも多く、制度が作られた目的がいつしかよく分からない状態になる。「制度だから当たり前じゃん」「それは制度だからそうなの!」、あるいは「そんな制度あったっけ?」と。それを形骸化と呼ぶわけだが、制度なんか、なければ作ればいいし、変えればいいし、必要ないならなくせばいいと思う。(1点、不利益変更には気をつけなければだが)
ただ、どの制度も、何かしら目的があって、誰かが思いを持って始まったものだ。様々なナッジを仕掛けながら、楽しくコンディションを見守っていきたい。