自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ(茨木のり子)
最近、茨木のり子さんの詩「自分の感受性くらい」とよく遭遇する。
『自分の感受性くらい』
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮しのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
この詩は、戦時中の胸中をうたったものだという。
少しでも思いを馳せて再読すると、言葉が出ない。私は分かっていない。自分のやりたいことが出来ない、音がなくなっていく状況に身を置いたときの自分を。
自分を保つのは自分。誰かがやってくれるんじゃない。
まして誰かのせいじゃない。