利用者のハッピーを伸ばしたら、結果的にアートといわれるところにたどり着くひとが出てきた(しょうぶ学園福森学長)
鹿児島県にある「しょうぶ学園」を訪れた。
しょうぶ学園は知的障害者支援施設であるが、障害者(以下「利用者」)によるアート制作事業に取り組んでいる。都内でも作品を見かける機会が増えてきた。
私がしょうぶ学園の存在を知ったのは、この記事がきっかけだ。
しょうぶ学園 ― ものづくり、アート、創造性 ― | アネモメトリ -風の手帖- | アートとともに ひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる
アート制作事業と言っても、当然、彼ら利用者も最初からアートのプロフェッショナルであるわけではないと言う。最初は、自分のやりたいことを発見することから始まり、自分のやりたいことを見つけ、ひたすらに手を動かして純粋に表現していく。そこに、ものづくりの目的はないと言う。ただひたすらにやりたいことを続ける。
しょうぶ学園の職員は、利用者の伴走者であり、彼らが手を動かしたものをいかに社会に受け入れられるアートクラフト作品へと昇華させるか、社会化していく役割を担っていると言う。
利用者の「ズレ」を健常者の基準から矯正するのではなく、そのまま受け入れて活かすのがしょうぶ学園のスタイルだ。
ずっと、どんなところなのだろうと思っていたのだが、クラウドファンディングをきっかけに実際に行くことにした。
今回訪れたのは、施設内にあるレストランotafuku。利用者さんも働いている。
ハートフルすぎる‥
肩の力がすっかり抜けてしまうほど、柔らかな光が差し込む空間。
そこかしこに、でもとても自然に、利用者さんのアート作品が置かれている。
ツリーハウスの席も。
かつては、健常者と同じことができるよう自立訓練をしていたそうだ。
知的障がい者が持っている価値観は僕らとは違います。僕らが働くのはなぜかというと、お金だったり、名誉だったり、やりがいだったり、何かを獲得するために苦しいこともこなしていかなければならない。でもそれがないひとに頑張って働けということは、ありえないんです。
だけど、支援者にとっては、健常者のようにお金を稼いで自立することが、障がい者にとっても幸せなはずだという考え方はとても強いんです。布をまっすぐに縫えないひとにまっすぐ縫うように指導するとか、できないひとにできないことを教えて、彼らは本当にハッピーなのか、考えなければいけない。
今日に至るまで、多くの上手くいかないことがあったのだろう。インタビュー記事にある木屑のエピソードは最高だ。これを読むたびに、あまりに自分自身に突き刺さってすぐにでも仕事に翻りたい気持ちになるが、あたたかくて開放的なしょうぶ学園の空気を吸っているうちに、出来なくていいんだよと、まずは自分を受け入れたくなった。
しょうぶ学園のこれからの挑戦も、またぜひ行って肌で感じて見届けたい。
18歳未満の子どもたちを対象とした、障害者支援の場を新設へ!(福森伸(しょうぶ学園施設長) 2017/10/03 公開) - クラウドファンディング Readyfor (レディーフォー)
※利用者さんの顔が映らないことを条件に、写真許可をいただきました。